バチカン秘密公文書館は、1612年に教皇パウロ5世によって、バチカン図書館とは別の組織として正式に設立された。これは、教会の文書を体系的に保存することにつながる重要な組織的決定であった。
19世紀後半まで、学者がこの文書館に立ち入ることは非常に限られていた。その後、ローマ教皇レオ13世が研究者に文書館を開放し、今では毎年1000人以上の学者が文書の一部を調査している。
バチカン・シークレット・アーカイブは、国家文書や書簡から財務帳簿に至るまで、教会の広範な歴史的記録を反映した広範な資料を所蔵している。
このコレクションは、多くの歴史的な時代にわたっており、教皇の勅令、公式の勅令、個人的な手紙、手書きの原稿など、さまざまな種類の文書が含まれています。これらの記録は幅広いトピックをカバーしており、時代を通じてカトリック教会が国際情勢に影響を与え、関与してきたことを物語っている。
バチカン秘密公文書館は、8世紀から20世紀までの12世紀にわたる歴史を記録した驚くべきコレクションを誇っている。この膨大な収蔵庫には600以上のアーカイブがあり、35,000冊に綿密に整理されている。
文書は85キロ以上にも及ぶ棚に保管されている。コレクションの大部分は、バチカン美術館のコルティーレ・デッラ・ピーニャの地下にある、2階建ての地下金庫に保管されている。この施設は、これらの貴重な歴史的記録の保存と保護に専念している。
バチカン秘密公文書館には、マルティン・ルターを破門した教皇勅書、テンプル騎士団の裁判記録、バチカンと著名な歴史的人物との間のさまざまな書簡など、いくつかの注目すべき文書が収められている。
なかでも最も有名なのは、1633年のガリレオ・ガリレイの裁判記録で、天動説を唱えたガリレイがローマ異端審問にかけられた記録が残されている。公文書館はまた、国家文書や外交文書も豊富に所蔵しており、世界情勢におけるバチカンの役割に光を当てている。
バチカン使徒公文書館は、バチカン市国の主権者である教皇が所有し、新しい教皇ごとに移管される。歴史的に、公文書館への立ち入りは非常に制限されており、一部の選ばれた人物に限られていた。しかし近年、この方針は転換され、資格のある学者や研究者は、閲覧できる文書に制限を設けられた上で、厳しい条件下での入館を許可されるようになった。
教皇フランシスコは2019年、「秘密」という言葉に結びついた誤解を払拭するため、公文書館を「バチカン使徒文書館」と改名した。元の名称は、教皇のものであるというコレクションの私的な性質を反映したものであり、隠されたもの、秘密、神秘的なものを意味するものではなかった。
2005年に公文書館館長に就任したセルジオ・パガーノ氏は、公文書館の規模や、歴史家がアクセスできるように文書を準備することの難しさから、公文書館を完全に公開することの難しさを指摘した。パガーノ氏は、文書が利用できるようになると、公文書館へのアクセスへの関心が薄れることが多いことを指摘し、学術的な研究よりも好奇心の方が強い場合があることを示唆した。
パガーノはまた、ピオ12世に関する文書の公開に消極的であることについても触れ、この圧力はカトリック教会の信用を失墜させようとする試みであると解釈した。彼は、バチカンの公文書館の文書は一般的に75年後にしか公開されないが、教皇はそれ以前に公開を許可する権限を持っていると指摘した。この方針は、教会の歴史のある側面についてより多くの情報が開示されるまで、かなりの時間がかかる可能性があることを示している。教会は主権国家の自治権を持って運営されているため、このような問題に関しては教会が唯一の裁量権を保持している。